大久保恒産と出会ったその日に入社を決意。低層工事部 副部長が職人を育てる上で大切にしていることとは?

【PROFILE】
名田 英典(なだ・ひでのり)。低層工事部副部長。1974年神奈川県厚木市生まれ。中学から大学まで陸上競技の短距離をしており、高校2年生の時に全国大会インターハイ日本選手権出場、4x100mR(リレー)で神奈川県高校記録樹立。大学1年生の時より、衆議院議員の秘書を4年間勤める。1997年(23歳)からスポーツクラブ支配人を4年目で黒字化。2007年大久保恒産に入社。2011年に低層工事部2課課長となり、2014年に低層工事部副部長となり、2つの班を束ねる。現在、伊藤忠商事・建設グループのイトーピアホーム株式会社の神奈川支部長並びに本部副部長、株式会社ひかり建設の役員を行っている。
名田さん、本日はよろしくお願いします!名田さんは大学を卒業されたあと大久保恒産に入社されたのですか?
いえ、大学卒業後は、4年間国会議員の秘書をしていました。
担当していた議員が落選して「これからどうしようかな」と考えていた時に、知り合いの経営者に「経営しているスポーツクラブが赤字だから、何とか立てなおしてくれないか」と声をかけられたんです。それで、スポーツクラブの支配人を務めていました。活躍しそうな人材をリクルーティングしたり、給与制度を見直したりと試行錯誤を重ね5年目で黒字化することができました。
すごい経歴ですね・・・!業界も職種も全く違う大久保恒産へ転職したのはなぜですか?
大久保恒産の元専務が、スポーツクラブへ「うち(大久保恒産)に来なさい」と突然訪問してきたことがきっかけです(笑)。
ど、どういうことでしょうか?
後から聞いた話なのですが、俺が働いていたスポーツクラブのお客様が、大久保恒産の元専務の知り合いだったようで、俺の話をしていたそうです。どんな話をしてくださったのかは分かりませんが、それを聞いた元専務が「うち(大久保恒産)に来なさい」とスポーツクラブまで足を運んでくれたみたいです。
きっと「大久保恒産にぴったりの優秀な人がいるよ」と話されたんでしょうね。突然の訪問に、驚きませんでしたか?
もちろん驚きましたよ。「何なのこの人は?」って思いました(笑)。なのですぐには転職しなかったのですが、元専務が来てから3ヶ月後に、「せっかく声をかけてくれたのだから説明だけでも聞いてみよう」と大久保恒産を訪問したんです。
大久保恒産の会社や仕事の説明を聞きに行ったんですね。
・・・のつもりだったのですが、部屋へ入ると社長と副社長と元専務、そして事務のトップである磯崎さんという怱々たるメンバーが迎えてくれました(笑)。
もはや最終面接ですね(笑)。どんな話をされたのですか?
会社の話は一切聞いた記憶がありません。聞いたかもしれませんが、当時私は「足場」という仕事を全く知らなかったので、理解していなかった、というほうが正しいかもしれません。話が終わる頃には「お世話になります!!」と言っていました(笑)。
どんな仕事をするのかイメージが湧いていないのに入社を決めるなんて、すごい決断ですね!
「どんな仕事をするか」よりも、「この人達と働きたい!」と思ったからです。
その日、社長と元専務は人生観を語ってくださいました。
その話から、とても強い信念を持たれていて、しっかりとぶれない芯があって、同じ男として尊敬せずにはいられない方達だなあと感じました。
私は国会議員の秘書やスポーツジムというこれまでの職業柄、同年代の人よりも多くの人達に出会ってきたという自負がありますが、それでも「こんな人達、会ったこと無い!この人達についていきたい!!」と思いました。それで、大久保恒産への入社を決めたんです。
「会社の説明会に行ってくる」と話したのに「入社が決まった」って帰ってきたものだから、嫁もびっくりしていましたよ(笑)。
そうですよね(笑)。それだけ、大久保恒産の人達が魅力的だったってことですね。実際に入られてからはいかがでしたか?
正直、入社前は「足場なんてそんなに仕事ないんじゃないのかな」と思っていたのですが、完全になめていました。「この忙しさはなに!」って思いましたね(笑)。
最初は阿部さんの班に番頭として入ったのですが、足場の何も分からなかったので、はじめの1年間は毎日職人と一緒に現場へ入って足場職人の仕事を覚えていきました。
半年経ったくらいから次第に元請けさん(お客さん)を持つようになりました。友達が知り合いの建築家とか塗装屋さんに紹介してくれたのも嬉しかったですね。未だにお付き合いがあります。
そうして経験を積んでいく内に、職人30人近くを抱える班をまとめられるぐらいにまでなりました。
それはすごいですね!チームを作る上で大切にしたことはありますか?
「ひたすら話す」ということですね。これには徹底的にこだわりました。
日中は職人と番頭とでは仕事をする場所が違う(番頭は本社と外回り、職人は工事事務所と現場)ので、会えるのは朝の出発前の時間になります。なので毎朝、一番先に職人が来る時間から、最後に来た職人が「いってきます」って言うまでの時間は、必ず職人がいる工事事務所にいるようにしました。
それは、「直接対面で話す」ということが大切だからでしょうか?
俺は大事だと思ってます。毎日会わなくても別に仕事は出来るけど、それはしたくなかったんです。
これが正解なのか正解じゃないのかは分からないけれど、職人とか番頭である前に人と人ですからね。気にかけてもらって嬉しくない奴っていないと思うんですよ。「顔色大丈夫?」とか「今日声が変だけど、風邪引いたの?」とか「最近彼女とどう?」とか。仕事の話じゃなくても、会話の内容は遊びの話でも女の話でもなんでもいいんです。
立場上、怒らなきゃいけない時ももちろんあります。ですが、怒る時だけ「ちょっとおいで」って話をするものどうかなと思うんですよね。日頃からコミュニケーションを取っていない人間から、怒る時だけ呼びだされてもそんな人の言うこと聞きたくないじゃないですか。
あとは、番頭が職人に対して「仕事をあげてる」と言うこと、職人が番頭に対して「仕事をやってやっている」とは絶対に言っちゃいけないことだと考えています。
バランス感が非常に大切なんですよね。もちろん立場上叱ったりすることがあるから、友達みたいな関係ではダメですが、かといって威張るような番頭には職人さんはついてこないですよね。
「怒られるからやる」「お給料が欲しいからやる」じゃなくて、やっぱり「この人のために」「この会社のために」っていう信頼関係で仕事をしないと。
大久保恒産は、本当に「大久保恒産のために」「社長のために」「仲間のために」働いている方ばかりですよね。番頭として、対お客様に対して大切にされていることはありますか?
番頭として営業する上では、元請けさんに対して「どう伝えるか」「何を話すか」というよりも、仕事をこなしてくれるのは職人だから、職人が問題なく規律通りに足場を組む、足場を解体することが俺らの営業だと思っています。
そういう意味では、大久保恒産の番頭って営業らしい営業は一切していないと思いますよ。それは勝手に仕事が入ってくるというよりかは、番頭が日頃からしっかりと職人のマネジメントができているという結果の積み重ねです。
職人の管理がされていない、職人が時間通りに現場にこない、仕事した後の現場汚い、ってなったら「また仕事お願いします」とはならないじゃないですか。
実際、職人は増えたんだけど管理ができなくなって、結果仕事が来なくなってしまった足場屋さんも見ています。
俺たちは「職人をしっかり育てている」という自負とプライドがあるから、元請けさんに「またこの子(職人)いれてよ」と言われたときは最高に嬉しいですね。
その子のどんなところが元請けさんに響いたのかはそれぞれだと思いますけど、「元請けさんにそういう言葉を言わせた」という事実はものすごい価値ですよね。自分が育てた職人がそんな風に言っていただけるのは、本当に誇りに思いますよ。
なるほど。職人さんをしっかりとマネジメントして質の高い納品をすることが、結果的に営業することにもなるんですね。
はい。ただ、私は今低層工事部の副部長なので、番頭を育てることも仕事だと思っています。最近は職人よりも、いま預かっている部下たちをどれだけ成長させられるか?ということを大事にしていますね。
番頭に対してはどんな教育をされているのですか?
基本的に、「これをこういうやり方でやってね」って教え方はしていません。そういう教え方では、俺と同じ人ができちゃうじゃないですか。
名田さんのような素晴らしい番頭がもう一人いらっしゃったら、大久保恒産にとっても良いことだと思うのですが・・・?
俺はね、その人らしさとか、その人にしかない強みが全員にあると思っているんですよ。だから、その人らしさを殺すような教育はしたくないんです。
だから、やり方は本人たちに任せて、方向性が間違っているなと思うようなことがあれば軌道修正するし、もっと良いやり方があると思ったら「これは、こういうやり方もあるよ」とアドバイスするようにしています。「そのやり方いいね!」って、逆に学ぶ場面もたくさんあるんですよ。
その人に任せている部分が大きいため、共有はかかせません。電話はこれでもかってくらい毎日すごいしますよ(笑)。
今の低層の番頭達って、すごく仲間意識があって、向上心もあって、ライバル心もあって、師弟関係も上手くいっていて、すごくいい関係だと思ってるんですよね。
どこかの班だけですごく会話がなされている、という状況もなくて、毎日低層工事部全体で話ができています。本当にいい仲間に恵まれましたよ。プライベートを一緒に過ごすことも多いんですよ。先日は職人さんも一緒にゴルフに行ってきました。わっきーなんか、若いけど一緒に楽しんでくれているし。とても良い雰囲気だと思います。
大久保恒産の番頭と職人で休日にゴルフへ言った時の1枚。
名田さんの低層工事部に対する愛と、チームワークの良さを感じます。今後の目標はありますか?
社長もよく言うんですけど、新入社員の子たちって「まだ何もできないけど、早く戦力になれるように頑張ります!」って言ってくれるんですよ。俺としては、自分では分かってないのかもしれないけど、すでにあるその子にしか無い武器を見つけてあげたいなって思うんですよね。
「まだできることが少ないから、僕は私はまだ会社から必要とされていないんじゃないか?」という不安を抱えるよりも、すでに持っている素晴らしい武器を一つでも見つけてあげれば、「これは私がやらなきゃ!僕がやらなきゃ!」って、存在感とか責任感も出てくると思うんですよね。
新社屋お披露目会では、司会を務められました。
今年も新卒が8人入ったけど、それぞれみんな素敵な個性があると思っているから、みんな同じになる必要はないと思っています。絶対に、その子にしか無い良さってあるんですよ。それは、もちろん足場職人としてではなく、人としての話です。「この子はとても明るいから、いるだけで場を明るくできる」とか。それでいいんですよ。足場の技術は、教えて経験を積めば自ずと身に付けることができますから。
その子にしかない良さを見つけて、引き出して、自信を持って活躍していける環境を番頭に限らず、みんなに提供していきたいですね。
新入社員歓迎会での一枚。先輩社員の言葉を述べられました。
名田さん、ありがとうございました!
編集後記「人が好きで、義理人情に厚い低層工事部 副部長」
「職人や番頭である前に、人と人だから」
「新人でも、人としての強みや良さは絶対に持っている」
インタビュー中に何度も出てきた、「人」というキーワード。
なぜ名田さんはそんなに人を大切にするのか?と尋ねたところ、「俺はありがたいことに、常に周りに人がたくさんいてくれる環境で育ちました。困ったときは相談に乗ってくれる人がいて、不安なときは背中押してくれた人がいたから、今の俺があると思っています。だからかな?人は大事にしようっていう思いが常にあるんですよね。
人って、ひとりじゃ何も出来ないと思うんですよ。社長も、たった一代で大久保恒産をここまでの規模の会社にしたけど、やっぱりそれも、社長を側で支え続けた周りの人達がいたからこそだと思うんですよね」と答えてくれました。
そして、「まあ、単純に人が好きなんだと思います。だって、40歳過ぎた今でも、毎年欠かさず友達に誕生日会やってもらっているからね(笑)」と。
写真撮影のために、本社に戻って仕事をしていた名田さんの後輩である番頭さんに、「記事に掲載する写真を撮影したいので、少しの間名田さんと雑談してもらえませんか?」とお願いしたところ、「嫌だよ〜」と断られてしまいました(笑)。「今日だけでも、何回名田さんと電話したか分からないんだもん。もう話したくないよ(笑)」と。
前職のスポーツクラブを退職するときも、「名田さんが辞めるなら俺も辞める!」と、名田さんを慕っていた後輩たちが20名も同じタイミングで退職してしまったという伝説をお持ちの名田さん。
仲間たちから愛され慕われる理由は、人が好きで義理人情に厚い名田さんの、自然でウェットなコミュニケーションの結果なんだなと感じました。
名田さん、そして「嫌だ」と言いながらも撮影に協力してくださったみなさん、ありがとうございました!