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2019.5.15
社員紹介

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-プロフィール

【PROFILE】
井上 和也(いのうえ・かずや)。高層工事部 設計課 課長代理。木造の大工さんになりたくて、18歳から建設業界に足を踏み入れ、なぜか鳶職になり基礎工事・足場掛け等をしながら、だんだん木造建築の現場管理を行い、もっと他の建物(非木造)も現場管理してみたいと思い、27歳ごろに転職。約19年間、現場監督をする。その会社が倒産した為、今までの経験を生かし、2008年、大久保恒産に入社。
主に仮設図面の作成・計算書の作成・各申請などを行い、現在に至る。

井上さん、本日はよろしくお願いします!早速ですが、井上さんが大久保恒産に入社されたきっかけを教えてください。

元々現場監督をやっていたんですよ。現場監督をやっているといろんな職種の人と関わる機会があって、そこで仮設工事の会社と関わる機会があって、それが大久保恒産でした。当時から大久保恒産と付き合いはあったんですが、その勤めていた会社が倒産しまして、、でしばらくの間、自分で図面を描きながら仕事をやっていたんですが、やっぱり少しずつ景気が悪くなってきて、どうしようかなぁ、と考えている時に副社長から「大久保恒産に来ないか。」と声をかけてもらって、じゃあ図面を描ける仕事ができるなら、とすぐに大久保恒産に入社しました。

では、元々設計図を描く仕事はされていたんですね?

前勤めていた会社が、何事も全部自分でやらなくてはいけない会社だったんですよ。普通の建設業の会社はいろんな仕事を外注に出すんですけど、もう掃除から細かい雑務、本来なら外注さんに出す仕事も自分でやらなくてはいけない。全部自分でやらなければいけないとなると、やはり図面も自分で描かなくてはいけない。そうやって自分達でやっている中で知らず知らずのうちに図面を描く技術も身についていた感じです。

設計図を描く基礎技術がもう身についていたんですね?

必然的にそうなっちゃったんです(笑)

即戦力として入られた?

当時の大久保恒産には設計図を描く人がいなかったんです。もうそれなりの規模の会社になっていたので、設計図を描く人がいたほうがそろそろいいだろうということもあって、入社しました。

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-屋上ベンチ

大久保恒産屋上にある休憩用ベンチは井上さんの手作り

基本的なことをお伺いするんですが、足場の設計図はなぜ必要なんですか?

労働基準監督署に出さなくてはいけない、設置届という書類があって、足場の設置から解体までが60日以上、足場の高さが10m以上の現場では提出が必要な届出書があるんですよ。まずその設置届の提出に必要です。また、現場での墜落事故等を事前に防ぐという目的や、足場を組むにあたって危険な場所もあるので、それを事前に知る意味でも設計図は必要ですね。

やっぱり設計図を描く際も安全が一番ですか?
はい、やっぱり安全が一番ですね。絵で描いていても、この隙間をどうしようとか、ここから向こうへ渡るにはどうしたらよいか、いろいろ頭で考えながら、現場の人たちが安全に作業できるように足場の設計図を書いていますね。現場監督が見てもわかりやすいような設計図になるようにしています。

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-設計作業風景

パソコンに向かい設計図を描く井上さん

設計図を描くためには現場での下見が必要とお聞きしましたが、現場下見はどのような流れでおこなっていますか?

実際の現場が狭いのか、広いのか等、施工図で事前に見ていても2次元の状態なので理解しづらい。やっぱり現場に行くと違って見えたりします。そういう箇所を現場に行き、たくさん写真を撮って、サイズを測ります。現場の建物を自分の目で把握して、設計図に落とし込めるようにします。また、写真をいっぱい撮ることで、寸法がもしわからなくても写真からタイルの数を数えたりして寸法を測ることもできます。

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-現場下見

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-現場下見2

足場設計で必要な現場下見

足場の設計図を描くのにどのくらいの期間がかかりますか?

設計図にかかる期間は、建物の形状等によって全然変わってくるんですが、真四角な状態の建物であれば2日くらいでできますし、セットバック(壁が階段状の建物)や壁が斜めになっている建物だと1週間程度かかります。
実際はそんなに時間をかけては駄目なのかもしれないけど、建物の実際の形を頭で理解しないと、足場の設計図って描けないんですよ。現場の建物を頭で理解するまでが設計図を描く際に大変なことですね。建物が理解できれば、まず平面図を描いて、立面図を一通り描いて、そして詳細図を描くという流れです。難しい建物だと2週間くらいはかかっちゃう時もありますよ。

難しいといえばこちらに横浜中華街・媽祖廟(まそびょう)の足場設計図があるんですが、この設計図は難しかったですか?

難しいというよりももう測れないんですよ。元々の原設計をもらったんですが、細かい箇所まで載っていない。施工図があればわかるんですが、設計図しかない。だったら勘でやるしかない。建築ってそれほど古くから変わるものではないので、長年の勘だったり、経験で描きました。

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-媽祖廟(まそびょう)

媽祖廟(まそびょう)の現場写真

足場設計で大切なのが、いかに足場が倒れないように設計するか、とうことです。
媽祖廟(まそびょう)のように歴史的な建物は、建物を傷つけてはいけないですし、足場を組むのに難しい条件もいっぱいありますが、どうやって実現できるかを考える。いかに倒れないように設計するか、というのが重要ですし、とにかく想像して考えます。足場が倒れたら大変なことなので、安全を最優先に設計図も描きます。設計図を事前に描くことで、危険な箇所を事前に想定することもできます。

媽祖廟(まそびょう)はどのくらいの期間で描きあげたんですか?

建物を描くのに1週間くらい、足場を描くのに1週間くらいですね。建物も嘘はかけないですから、建物を描くのにもそれなりの時間をかけます。建物を描きながら、足場がこんな感じになるな、というのが分かってきます。建物を自分で描くことで足場の設計が頭に浮かんでくるんです。

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-媽祖廟(まそびょう)設計図-平面図

媽祖廟(まそびょう)の足場設計図・平面図

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-媽祖廟(まそびょう)設計図-詳細図

媽祖廟(まそびょう)の足場設計図・詳細図

設計図を描く際のこだわりや仕事へのこだわりってお持ちですか?
足場の部材等も見た目通りに描くことですかね。大抵の人は足場を線で描くんですよ。1本の線で。自分の場合は柱とか、支柱のコマとかを見た目通りに描きます。その分時間もかかりますが、細かく描いておけば、現場の人から詳細図が欲しいと言われた時も指定の箇所をアップにすればすぐに対応できますし、現場の人も分かりやすい。線だけで描いているとそういう対応ができないですし、線だけだと、建物の線か足場の線かといったところもわからない。詳細まで詳しく描くということろはこだわってますね。あとはカラーで分かりやすく描くことですかね。色々な色を試してますよ。
誰が見てもわかりやすく見やすい設計図になるように、毎日勉強してます。ですから10年前自分が描いた設計図と今のものを比べると大分進化してますよ!
緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-媽祖廟(まそびょう)設計図-立面図

媽祖廟(まそびょう)の足場設計図・立面図 色を多用し見やすくなっている

足場の部材なんかも自分で寸法を測って描いてます。一度描いた足場の部材はどんどんCADのソフトに登録してます。
ただ、CADソフトが古いので自分で工夫していかないと、いろいろ手間がかかるのが難点ですね(苦笑)

最新のCADソフトを使わないのはなにか理由があるのですか?
新しい物(データとか仕様)を取り入れることは悪いことじゃないんだけど、古い今まで使い慣れている物を削除するんじゃ無く、もう一度全体を見て違う角度から物事を判断すれば、「ここを改良すればいいんだ!」ってことが見えて来ると思うんです。結果、それが良い方向にいくのかもしれません。
そんな柔軟な頭を持つことが大事だと思います。

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-設計課

同じ設計課で働く盛岡さん(右)と井上さん(左)

ちょうど4月から新入社員研修が始まっていて、井上さんも研修を担当されているとお伺いしましたが、どんなことを話されているんですか?

足場の歴史や足場に使う部品の種類、建物の種類や構造物、建物のどこを見れば建物の構造がわかるか、等の話をしました。
建築現場の流れや、大久保恒産がその流れの中でどこに関わっているか、とか、色々教えたいことはいっぱいあって細かく話をしたかったんですけど、やっぱり人に教えるのは難しいですね!新入社員はみんな足場のことを知らない・わからない人ばかりなので、どうやったら理解してもらえるか難しかったですね。今回初めてだったんですが、自分も勉強が必要ですね!

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-新入社員研修風景

休日はどのように過ごされていますか?

休日は家でゆっくりするだけですね(笑)
仕事のことは忘れてリラックスしますね。やっぱり設計っていう仕事柄、平日は頭を使うことが多いのでその疲れを取る意味でも、休日はゆっくりしてます。
朝11時頃まで寝て軽くご飯を食べて、買い物をして、昼寝して夕方17時頃に風呂に入って6時頃から晩酌を楽しんでます。

子どもが小さい頃は関東の水族館へはだいたい行ったかな。新たな趣味を見つけたいんだけど。。。休日はぼーっとしつつ、趣味探しかな(笑)プラモデルとかは好きで何箱か持ってますね。あとはスカイダイビングとかもやってみたいね!

仕事が趣味?
やっぱり好きじゃないとできない仕事だと思いますね。1日中設計図と向き合ってますし、手間もかかる仕事ですから。でもなんだかんだ言っても設計図描くのは好きですね!

本日はありがとうございました!

緻密で正確な足場架設を支える、熟練の足場設計プロフェッショナル-設計課-井上和也

インタビューを通して、井上さんの安全へのこだわり、細かい点まで妥協しない姿勢が伝わりました。また、現場を常に思いやり、誰が見てもわかりやすい設計図を目指し、日々勉強を続けている姿が印象に残りました。

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